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最終の11月の日曜日

雨の朝6時。
ころりと、ベッドから起き上がる。
午後に若いお二人の門出の祝宴会。
いつもとは違う朝の気分です。
約20名の列席者を招きいれて、そこから始まる祝宴です。
前日が深夜終了でしたが、6時間の睡眠で元気になりました。
12時までに用意する祝宴のための料理。
完璧にテンションが実感できるまでに心臓は鼓動開始。
4人のメンバーですべてを回す。
それぞれのお皿のデザイン。
それぞれのお皿の素材点検。
サラダは定番の南仏模様のウェジウッド。
デザートはロイヤルアルバート。
ソース類の点検と味見。
大人数は途中での味変更はできない。
昨夜のアドリブに近い調理は到底不可能です。
夕べはスペイン生活の長い方だったし、何より南仏料理が好み。
マトウダイのあらやエビで採るブイヨン。
これを素材にビスクというスープを作った。
季節の牡蠣を使い、白ワインと玉ねぎで情熱的ソースを作る。
ワインにはバレンシアの極上赤と合わせた。
昨夜の情熱が残る私の遺伝子が今日も生存してた。
明日から12月だ。
2014年の最後の月。
今日は若い人達の門出に負けないような料理を、と決めてた。
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by lautrec2kagoshima | 2014-11-30 20:20

厨房は戦争だ。

複数のテーブルを時間差で調理する時間はまさに戦争です。
定番のない、瞬間に素材に向かう。
フォアグラに火を入れてる間に、魚の火の入り具合を確認。
ソースの煮詰め具合が気になる。
帆立の火は3部程度で止める。
その間にワインを開ける。
すみません、ボルドーじゃなくブルゴーニュでした、と給仕の声。
電話が鳴る。
シェフをお願いします。
今、手が離せませんので、と誰かが謝る。
その間にワイン煮の仕上げが待ってる。
同時に洋梨のタルトを焼きだす。
バナナをパートフィロで包んで焼きだす。
焦がすなよ。危険だぞ。
ほとんど同時進行で厨房は進みます。
パンの追加、ワインの追加。
時に明日の予約の電話。
こんな時に限り、お客様のご要望が多い。
冷静に聞かねばなりません。
約3時間の戦争が終わると、この世が終わる感じです。
昨夜で約40人のボジョレ祭りが終わりました。
パンのすべて5キロ分の量消費。
しかし安心は禁物。
帰り際に電話です。
明日のランチに特別な席にしたい、と。
あ?パンがない。。
朝寝の予定がすべて消えた。
6時から今朝はパンを焼きだす。
深夜にラジオを聴いて、幸せになる。
ウラジナールアシュケナージのショパンが流れてた。
彼のピアノを聴くと、ピアニストはこの世で彼一人で十分、だと思った。
前人未到の圧倒的な表現力。
神が乗り移る現象を感じる。
ということで休みは消えて、今はパン焼きの刑。
年内はおそらく休みの日はない模様。
11月は1度しか休みはありませんでした。
まさに厨房の奴隷。
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by lautrec2kagoshima | 2014-11-24 08:26
朝、目が覚めたら彼女はもういなかった。
そんな言葉をつぶやきながら、ボジョレの5日間のパンやタルトを焼いた。
料理はその準備時間が長いねえ。
割に合わない仕事の一つか。
それでも好きな仕事だからやめられない。
不器用な私は、毎日毎日が本番を兼ねた練習時間。
30年以上も同じ仕事してるのに、1度たりとも正解な日はない。
パイは仕事後、夜遅くに折る。
厨房に一人。
フランス語放送を流しながらの午後。
実はこの時間がお気に入り。
明日からの連続なボジョレ。
メニュは決めたし、明日の朝は煮込みを丁寧に始めるぞ。
ミルフイユも作ろう。
パリ時代は10Lの牛乳でカスタードを作らせれたなあ。
卵100個を割る。
これだけでも肩こりの仕事。
明日の厨房は戦争だなあ。
気の抜けない時間。
終わると愕然と座り込むのが私の習慣だ。
さーて、tarte au pommeの味見をしようか。
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by lautrec2kagoshima | 2014-11-19 17:05

坂道を迷う朝に。

休日の朝の事。
女子大に仏受験に向かう私。
合格するように、通りすがりの寺に頭を下げる。
どうか仏様。これはただの神頼みだ。
半年に1度の試験なので、それは長い長い受験の道のり。
何度も諦めては後悔して、また戻る。
お寺を出た後が悪い。
道に迷う。
何回も道を聞いた。
ここからかなり遠いですよ。歩いてですか?無理ですよ。
墓掃除してる老年の男性に道を聞く。
私が自動車で連れて行くよ。
で、女子大で何事ですか?
何か講師ですか?
実を言うと、仏語の試験が。。
何?そのフランス語と言うやつ?
何するんですか、と鋭い質問が来た。
えーーと、老後のボケ防止というか。
まさかフランス人の恋人でも?とキワドイ問いかけが来る。
その男曰く、フランス人女性の話すフランス語を聞くだけで、もうメロメロですが。
若い頃、アランドロンの映画とか見てまして、その時のフランス語がきれいでしたよ。
見かけに寄らず、フランス語の印象は正解に近い。
フランス語はベッドで最高の原語ですよ、と私。
何、それ?と男。
そのうち、女子大に到着。
その方もどうにかして校門を入りたがる様子だ。
今日は大学はお休みですよ、と私。
正門前で別れた。
歩いてたら、疲労で時間に間に合わなかったかもしれぬ。
試験の後、坂道を歩いて秋の空気を吸う。
試験ができたとかどうかも忘れて、自分の頭の軽さだけを笑う。
暗い朝にバスに乗り、暗い夜に家に着く。
長い1日。
深い眠りに落ちた。
すると夢を見た。
ニューヨークに到着して道に迷った。
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by lautrec2kagoshima | 2014-11-17 20:44

30年間の想い

フランスに夢を求めて出かけた日本人。
帰国後、果たしてどれくらいの人が夢を実現できたのか。
100人に一人程度だといわれる。
音楽家はさらに厳しい数字だろうか。
すべては帰国後にかかる。
それからが夢の現実化。
大切な時間とお金をかけてのフランス。
私はカメラからレコードなどなんでも売り飛ばしてフランスに向かった。
帰国後の財布の中身は5万円?
そこからが地力と自力の勝負だった。
お金も人間関係もゼロノ30年前ははだかだけがじぶんだった。
波の高い時も静かな時も揺らがない精神はフランスで学んだ。
人を満足させる仕事は時に底に落ちることも。
上手くいかない時、うまくいく時の繰り返しだった。
多くの仲間達がこの世界から消えていく。
その中で生き残る方法はいつも頭の中に浮かんだ。
ただ料理人としてじゃなく、生きる事を心底楽しむ事が救いだった。
30年の間に30回以上フランスを含めて旅をした。
英国の古いスポーツカーに命をかけた。
自転車で田舎の空気を毎日毎日吸う。
ジャズ演奏家の顔は夜のもう一つの私に。
ボランチアで英語を子供たちに教えた。
中高生に英語を100人以上教えた。
今では英語の先生や医家に成長もしてくれた。
フランス文化の裏を更に知りたい、とフランス語の再開。
こうして総合的な、というかデパートな人間になりたい、と思った。
30年の時間。
膨大なレシピ、膨大な旅の記録。
来週はボジョレで4日間は大騒ぎだ。
まるでリオのカーニバルだ。
リングから降りたら敗残しかない。
情熱で生きると周囲も近寄る。コルカタの友人家族。志布志港で知り合ったインド人船員。
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by lautrec2kagoshima | 2014-11-13 20:10
友人の親せきからLPが届く。
ショスタコービッチ、ビゼー、ビバルデイ、アートブレーキー、ケニーバレル、加山雄三、松山千春、エリントン、マウンテン、スージークワトロ、ジミヘンドリックス、ダイアナロス、キースジャレット、ヤンガルバリク、アルジャロウ、カーリーサイモン、吉田卓郎、井上揚水、ブラームス、スタイリスチックス、ベンチャーズ、アースウインドアノファイヤー、ドンチェリー。。。。。。。ジャズからソウル、歌謡曲、フォーク。。。
もう音楽世界の魔界だ。
一人の人がこの広い範囲で聴いてるとは。。
この人の脳味噌はタダものじゃないぞ。
昨夜は遅くまで分類作業。
シャンソンの名作も5,6枚。
この音楽ジャンルは私の領域でもある。
ジミヘンの後、ウェザーレポートを聞き、そのあと中島みゆきを聞いた。
針を落とす。
バリバリと音がする。
原始的だけにその儀式が面白いねえ。
最近はほとんど車には乗らないで、自転車人。
東京は自転車天国だ。
レコードを聞きながら、万年筆で伊東屋の便せんで手紙を書いた。
不便が楽しい。
料理も同じですべてを自分の手で作る。
明日の朝はトレツールでサンド製造。
いろいろな種類の仕事がやってくる。
最近は英語部門の要求も増えた。
子供から大人まで。
趣味からビジネス英語まで。
旅で習得した英語を教えた子供達は100人以上。
音楽と同じく、いろいろな生き方をして、いろいろな味を味わいたいもの。
合計800枚のLPを毎晩2枚聴いても2年だ。
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by lautrec2kagoshima | 2014-11-10 20:29

現代料理11月号

4日ぶり東京から帰る。
15年暮らした東京を今回は自転車で回る。
日本だけど日本じゃない場所。
田舎とは比較できない。
すべてが世界基準だしね。
富、文化、文明、の集積。
ふと考えた。
どちらに住みたい?うーん、東京かなと。
午後787で空を飛んで田舎に到着。
山を越えて、はてどこへ行く?
帰るとフランスから本が届いてる。
そうか、もう秋の舞台か。
11月は師走前の助走月だ。
兎に角上手いものを作ろう。
上手いのが第一だからね。
2月16日深夜のパリ行きの予約が取れた。
エアフランスの夜行便だ。
何も考えずに素直にフランスと向かおう。
早朝のTGVで南へ下ろう。
スペイン近くの田舎へ。
帰りはいつものパリで友人達と騒ごう。
フランス料理の世界は広い。
今夜はこの本を読もう。
今朝のショパンの録音を聴こう。
昨夜はジャズした。
エリントンの難解なバラードに挑戦した。
コード進行がサンサーンスを連想させる。
フランス音楽は予想できない音の非連続性がいい。
深夜に思いを夢に乗せる。
東京は歩くだけで刺激的だ。
30年前に住んでた地区を歩く。
その頃の自分に会えた。
もう若くはない分、自分の描く夢を実現させるその現実感に漂うのもいいもの。
生きた、という証拠を自分の指に教え込む。
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by lautrec2kagoshima | 2014-11-06 20:41

私達夫婦が経営する南仏・地中海料理のお店「LAUTREC(ロートレック)」の毎日の様子を綴ります。


by lautrec2kagoshima