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おいしさの基本

人間の味覚程、主観的なものはありません。
おいしさとは?

空腹の時に飲む水のおいしさに勝るものがあるでしょうか。
じゃ一番においしい、と感じる時はいつ?
充実した人生が第一の条件です。
ある程度自分の描いた道を歩いていること。
第2に、多忙な日常。
第3に、誰と食べるか。
第4に、楽しくてわくわくする話題で花が咲くか。
ようやく第5に、どこで何を食べるか。
食べる物以上に話題に花が咲くか、が大切です。
この条件は私個人のものじゃなく、食いしん坊達が古代から言ってる事です。
この条件を考える時。
レストランでの舞台装置を完璧に用意するのが私の仕事です。
明日の舞台は銀婚式。
感動させる装置を今夜は考えます。
人を驚かせる。
人を楽しませる。
それだけのためにレストランは生まれてきました。
フランス革命後の、庶民を貴族として扱うシステム。
それがレストランの大事な役目です。
生き急げ。
ローマ時代の哲学者セネカの言葉です。
私の背景にあるセネカの言葉です。
したい事をする。そのために今があるのですから。
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by lautrec2kagoshima | 2012-09-24 21:44

シチリア料理のご希望

今夜のゲストは長くバルセロナで建築学を学んでいらしたご家族です。
ご希望はシチリア料理。
フランス料理の原点といわれる地中海最大の島です。
過去料理の源流を捜しに3度訪問しました。
アラブ、ノルマン、フランス、その前はギリシャやローマに支配された地域です。
重層的文明の蓄積が生んだ独自の文化圏です。
州都パレルモの友人宅に招かれたり、アラブ人の友人宅の訪問とか、いい思い出の島です。
シチリア料理の特徴の一つ。
それは海辺のオリーブオイルとレモンとトラパーニ産の塩。
それに海の素材を組み合わせて、短時間に仕上げる、まるでテンションの高い時間です。
もちろん、パスタもしおかぜの味です。
シチリアには大好きなギリシャ神殿がごろごろ。
中でもアグリジェントは秀逸です。そこにオリーブの森があり、横たわるコリント様式の円柱。
そこに昼寝に最適な大理石の寝台を見つけました。
1時間程、真剣に寝込んでしまいました。
オリーブの風に当たりながら、旅に出て最高の昼寝時間です。
またシチリア料理を量り売りしてるお店があります。
パリ18区のラマルク駅のそば。
何回か立ち寄り、シチリアの話で盛り上がりました。
料理するのは純真無垢な遊びです。
いい遊びをジャズとともに与えてくださる神様にメルシーです。
雨模様の台風な朝。
暗い朝に想いははるかシチリアへ。
旅まで2週間。パスポート期限大丈夫?
今夜の献立。フレンチとはかなり手法が異なります。
前菜.アボカドとホタテのマリネ。
第2の前菜4種。
パスタには大きなエビ丸ごと。フレンチ風に自家製アメリケーヌソースを隠し味に。
新鮮魚のシチリア風フライ、今届いたパルミジャーノチーズのパン粉で
それにシチリアのアンチョビのピザ。米サラダのトマトオーブン焼き。
メインに3種の魚介をケーパーと玉ねぎの野菜ソースで。
イタリアンとフレンチ。
さてどちらが難しい?
答え。フレンチです。その深さ、その技、その歴史。
イタリアンは基本お母さんの料理です。
フレンチをする人のイタリアンは面白いです。
イタリアンをする人は基本的にフレンチは無理でしょうか。
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by lautrec2kagoshima | 2012-09-16 10:26
23日の初ライブに集まる良からぬ5人の音出し屋。
今回はオーボエ氏が新登場です。
ピアノ、フルート、ギター。それに遊びに来た新進作曲家のT氏。
仕方なく、というかさせられた、というかコンガの前に立たされた。
何やら初めての事らしいが、1秒の指導で何となく叩き出す始末。
2コーラス目は勘をつかんだのか、周囲の音に生意気にも合わせている。
楽譜をチョイ、と見ながら、この高名な賞をいくつか受賞したT氏は楽しそうだ。
で、仕上がり?
アドリブとテーマの順番を決めて終わり。
練習の必要がないのが悲しい。
皆さん、それぞれの分野で活躍する人たち。
今回のオーボエは収穫です。
秋の収穫にふさわしい音。控えめな演奏家も魅力です。
全体を包む柔らかい音、低音の響きは大地の母そのもの。
個性の塊な5人。
女性がわずか一人、というのもいい。
男だけなら余りにむさくるしい。
5人でボサノバやジャズ。
しかもこの楽器構成がユニークです。
楽器を置くと、特に音楽の話もなく、ただ無能な会話のみです。
音はうそをつけません。
言葉はうその一番便利な道具です。
言葉はかなり危険な核物質なので、できるだけ使わないほうが賢明?
3時間、この5人は適当に帰りました。
じゃ、本番までさようなら。
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by lautrec2kagoshima | 2012-09-11 08:16

出会いの場所

レストランは単に料理を食べる場所だけではありません。
この仕事をして何が一番の収穫か?
それは普通には出会えない人たちと遭遇することです。
今週はバラの権威で英国からのゲスト。
南フランスで学んできた造園家。
歌川派の詳しい女子医学生。
シンガポールのホテルの上にあるプールで泳いできた8歳の女の子。
今週だけでこれだけの人達と楽しい会話で弾みました。
レストランは出会いの最上の場所の一つです。
今夜は秋メニュの制作。
そしてお客様へのカード書きです。
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by lautrec2kagoshima | 2012-09-09 20:34

今夜のメニュ作成の朝

アミューズにはアボガドと貝柱のマリネ。ここで一番に質のいいオリーブオイルの出番です。
4点の前菜に新作でリンゴとキリチーズのサラダ風と豆のムース。
最近の潮流、南フランスのサラダ。
昔南仏の海で遊んでいた時代からの好物サラダです。
ポイントは季節の野菜をできるだけ沢山。
それにアンチョビと卵が不可欠。
cuisine actulle,という契約したフランスからの動画で見た新作。
これが今日の魚料理です。
長ネギ、オレンジを素材に魚を新しい感覚で仕上げます。
ポイントはシナモンとローズマリーの組合せ。
肉料理はマスタードをオリーブオイルで溶いて、それを素材に塗り、オーブンでこんがり。
ソースはバルサミコを煮詰めて。。。
と、一応、頭の中ではこのように構成されます。
本番はどこへどう展開するのか、自分でもわかりません。
料理で遊ぶ。
音楽で遊ぶ。
自転車で遊ぶ。
異国で遊ぶ。
遊ぶために生まれてきた私です。
今夜は料理で深夜まで皆さんと遊んでください。
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by lautrec2kagoshima | 2012-09-08 08:08
秋。
料理人には面白い季節がきました。
フランスからの情報や経験から引き出すアイデア。
想いははるかロンドンのフランス料理店での皿洗い時代まで。
深夜にごそごそ、としてると。
急にどこかに行きたい、と強烈な旅衝動が発病です。
それから世界地図を広げる。
飛行機で遠い国へ飛び去ろうか。
10月4日の便がわずか1席。
ようやく確保。
しかし年々、頭も体も老化なのか。
先日、愛車の自転車でお買い物に出かけました。
翌日、ガレージから自転車が消えてました。盗難?
完全に盗難だ、と落胆。
待てよ。きのう?
そうだ、スーパーに忘れて来た。
歩いて帰ったんだね。
痴ほう症の始まりだと確信しました。
このままじゃ、異国から祖国に帰れるだろうか。
これまでアフリカの奥地やアジアの秘境からも帰れていましたが。
先行き不安です。
たぶん、いつの日か、祖国に帰れなくて、保護される日が。
保護されるのも面白そうですが .
さて仕事開始だ。
せめて料理法は忘れないことにします。
それから新しいボサノバ4重奏団の楽しみ。
9月23日のデビュライブ。
遊びの合間に仕事。
これフランス人の普通の生き方の一つです。
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by lautrec2kagoshima | 2012-09-07 17:17

チンさんのベースの歴史

昨夜のジャズクラブのゲストは鈴木良雄さんでした。
昔新宿ピットインでベースアンプを貸してた記憶が。
早稲田ジャズ研ではピアニスト。
ある午後、渡辺貞夫のジャズ講座が開かれました。
誰か、ベース弾ける人ここにいませんか?
ベースのいないジャズ音楽は麺のないラーメン。
あるいは肉のないステーキか。
そこでチンさんが手を挙げたそうな。
ジャズ研で遊びでいじってたベース、それも適当に。
いよいよ貞夫さんの指揮で演奏が始まったそうな。
講座の後。
ね、君、私のコンボでベース探してるんだけど、来ない?
え?私はピアニストですけど。
ま、いいじゃないか、ベース弾いてよ。
そのまま伝説の渡辺貞夫カルテットに参加。
そのあとニューヨークへ。
12年間の在米中、何んといってもアートブレーキーグループのレギュラーベーシストに。
異国で暮らす事の厳しさや、言語の違い。
この20年、日本からジュリアードやバークレイに学びに行く人の多い事。
私の知り合いにも何人かいるくらいです。
いやー、ほんとに今の若い演奏家はうまいですね。
実に効率よく学んでいますね。
実はそこまでなんですね。それからがないんですね。
受け身で授業料だけ学んだのでしょうか。
個性、味、独自性。それがないんですね、と。
1950年代のベーシスト、ポールチェンバース、ミンガスを超える演奏家が出ないように。
チンさんのベースは実に暖かい。
一音を大事にして、自分の世界を展開、世界に一つ、の音です。
料理の世界も同じです。
東京の仲介会社が3カ月200万円の授業料で星ありレストランに紹介。
フランスで学ぶ真似をするわけです。
私の時代は、自分の足でレストランのドアをたたきました。
必要ないね。出直して。。。その連続でした。
お金出して学ぶのもいいけど、そこからどう展開させるか。
チンさんの控えめな言葉の裏には真実が隠されています。
ジャズの仲間、N氏の2枚目のアルバムのベースはチンさんです。
何事もそれから、が大事という意味ですね。
誰でもフランスやアメリカには12時間で行ける時代です。
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by lautrec2kagoshima | 2012-09-02 17:23

私達夫婦が経営する南仏・地中海料理のお店「LAUTREC(ロートレック)」の毎日の様子を綴ります。


by lautrec2kagoshima