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旅の記憶

凍りついた布団に全身を沈めた瞬間に、在りし日の旅の記憶が蘇ります。
暗い布団の中に、30年前の旅の映像が映し出されます。
観客は私一人です。
カラー映画もあれば白黒もあり、睡眠までの短い上映もあれば、1時間の時も。
無限大の番組量ですから、選び出すのも楽しみの一つです。
水を浴びせられて逃げるアコーデオン弾きの少年。
おそらくジプシーの子供です。
レストランで演奏させてもらい、小銭を頂くのでしょう。
半分、泣きながら走る少年の姿。
まるでフランス映画の巨匠、ルイマルの作品みたいです。
暗い布団の中は、天界でもあり、地獄でもある気がします。
今回野間文芸賞を授与された村田喜代子さんの新作記事を読んだ昨夜。
その新作も過去の自分の居場所を探す内容です。
どこからきてどこへ私は行くのか。
深夜の布団の中は、自分探しや各種悩みや、苦しみや喜びが混雑しています。
何しろ、暗くて狭い空間です。
秘密基地です。年代別に登場した恋人達とも自由に会えるし。
熱く燃えた時、冷たく別れた時、新しい恋人を紹介された時。。。
寒いロンドンで震えてた安アパートの匂いや、夜間飛行の夢や。
暗い布団は記憶再生装置です。
最近の私の一番趣味はこの暗い部屋での空想です。
皆さんも試してみては?
自分が演出家だし、こんな面白い番組は今のところありません。
まとめて文章化する予定です。
さて今夜の番組は?
スペインに飛んでみましょう。
バルセロナに過ごした春を映画にしてみましょう
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by lautrec2kagoshima | 2011-01-26 17:42

真冬の熱源

予約は昨年の12月初旬。
ようやくその夜が到来しました。
北風吹き荒れる夜に到着されました。
片道約1時間のタクシー距離です。
初めてのお客様ですから、こちらも用意周到に準備しました。
赤ワインのブルゴーニュ、それもボーヌで入賞した逸品を用意。
さて、これとの組み合わせは、上質のサーロインにフランス産フォアグラ。
定番ながら、フランスの冬料理の極め付けです。
フォアグラとサーロインからにじみ出る、何とも言えない香りが漂います。
フライパンに乗せて、火を放つ瞬間に、どーーん、と発火する香り。
約3時間の劇場にも終わりが来ます。
テーブルと調理場の熱き戦いの最後に、お互いの視線が会います。
お客様の反応を敏感に察します。
どれくらいの満足度?
どれくらいの不満足度?
皆さん、期待と希望を抱いてご来店されます。
その期待を裏切らないように、と真剣になります。
調理中は瞬間芸です。
そのほかの時間はこのように、タルトの型を焼いたりします。
デザート、料理、パン、この3種を並行して作るのが料理人の仕事です。
5月で25周年を迎えます。
小さくてもいい、有名じゃなくてもいい、自分が満足できる仕事ができたら。
少数の人達に支持されて、お互いに満足を共有出来たら最高です。
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by lautrec2kagoshima | 2011-01-25 17:35

憂う友人達の行方

画面大きく映し出される、ブルギバ通りのデモ。
権力と民衆が激しく激突してる様子が。。
フランス独立門近くに住むハメド家族は無事だろうか?
私の大好きなチュニジアの首都チュニスが破壊されようとしてる。
3度訪問した北アフリカの小さな国です。
カルタゴ時代の反映から今日まで、長い歴史。
アラブでは穏健な国と思っていましたが、言論統制の非文明な国家でした。
ブルギバ大統領にちなんで命名された美しい並木道が催涙弾で破壊されていました。
スースやエルジェムの友人達は無事だろうか?
世界をつなぐネットの力が、権力の非合理さをさらけ出した意味は大きいものです。
アラブ圏に巻き起こした起爆剤になる事でしょう。
地中海諸国にもたらす影響、特にアルジェリアとエジプトは震えているに違いありません。
パリから飛行機で3時間。
南部にはサハラ砂漠が広がる水平線の国です。
暫定政権もあてにならない、まるで日本のような弱体国家です。
あの並木沿いにはフランス風のカフェの立ち並ぶおしゃれな地区です。
車で1時間も南下すると、ベールに覆われた女達に出会います。
チュニジアの友人を訪ねてみたい気持ちになりました。
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by lautrec2kagoshima | 2011-01-19 14:44

ボサノバライブ2011

昨日の午後、今年初めてのライブをしました。
狭いレストランは満員の聴衆で埋まりました。
1メートル前で演奏するスリルはたまりませんね。
トランペット、フルート、ギターとボーカルにパーカッション。
1時間連続のサンバのリズム。
生の音、等身大の音、演奏家の呼吸、聴衆の心臓の音。
ミュートの効いた音、やがて切なく唄うフルートにギターの和音が重なります。
音楽はドラマです。
始まりから終わりまで、まるで人の成長にも似ています。
演奏家達はそれぞれの音を聞き分けて、さらに自分の気持ちを加えます。
定例ライブは顔なじみや新人も加わり、程よいテンションです。
言葉不要、何も不要、ただ音だけが流れます。
西アフリカと西洋音楽の出会いのもたらす絶妙なまでの表現です。
混血文化のブラジルの秘める多様な価値観のもたらす所以です。
新人聴衆にバングラデシュに2年、英国に4年住んだ女性と話が弾みました。
多様な価値観をベースに会話が止まりません。
どんな人と食事するのが一番に楽しいか。
真面目な人、ブー、常識人、ブーー、
唯一、面白くて退屈しない、知識自慢しない人。非クレーマー
私の友人選定の一つの目安です、と考えてたら、辻静雄氏の基本姿勢でした。
こんな方ばかりが集う昨日のライブでした。
次回は2月20日の日曜日です。
今度はサンバを踊りたいものです。

 
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by lautrec2kagoshima | 2011-01-17 17:04
何も考えずに午後の散歩に出ました。
そうか、成人式か。
ほう、もう遠い日のほとんど消えかかる記憶か。
20歳のその日は遥か、英国の倫敦に隠れていましたね。
ボンド街のフランス料理やの地下で玉ねぎむいてたか。
自宅近くの住宅街。
高齢化で家もそのまま昭和、って感じ。
この家から子供達も成長したんだろうね。
当時は今よりも格差社会。
自分のサイズをよく知る大人達が住んでたんでしょうね。
おや?これは60年代のダットサンフェアレデイだ。
幌の日本の祖だね。
雨や風に打たれて生きてるんだ。
いい雰囲気だね。
昭和の家の窓の中には幸福がまだ住んでいそう。
何より無理のない、自然体がいいです。
今は誰も住んでない家に大きな白い猫が昼寝中。
何もしない、無音な世界がこれまたいい。
一人で午後の散歩。
負債も何もない底辺をさまよう気楽な身分も悪くない。
一人で遊ぶのが楽しい午後。
現実が夢で、夢が現実。
太宰治先生は天性の心理学者でもありました..実はこの犬、私に吠えて1年です。女には吠えられる人生、しかし、犬君まで吠えられるとはね。
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by lautrec2kagoshima | 2011-01-10 21:16

久しぶりの再会

新年でデザートの型を掃除していました。
おや?これはなんだ?
1986年当時、パリ9区の厨房で使用してたタルトの型でした。
リンゴのタルトタタンやオニオンタルトを焼いてた頃の匂いがしました。
時にタルトを100個焼いたりも。
なんせ不便なフランス語です。
特に厨房は早口で訛りあるフランス語です。
ウイじゃなくウェイと聴こえます。
特に数字に苦労しましたね。
フランス語は70は10と60、と分けて言います。
80は20と4をかけて80といいます。
90はその80に10を加えます。
何ともフランス人の論理というか、文化というか。
フランス人との恋愛は戦いです。
毎朝毎晩、愛してる、と言うのが義務です。
モリエールの演劇みたいです。
我が大和人はそれはそれは大人しい限り。
話は元に戻り、このタルトの焼けた色がいいです。
フランス人の命、タルト。
タルトさえあれば、デザートは十分です。
明日にもこの型で焼いてみましょう。
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by lautrec2kagoshima | 2011-01-09 17:55

傷ついた小鳥

午後、散歩してると、道端に小鳥が苦しんでいました。
その3メートル後ろに黒い猫が。。
おそらくこの猫が飛びかかり、負傷したのでしょう。
急いで小鳥を拾い上げました。
背中から首にかけてかなりの負傷です。
血も流れていました。
毛もはぎとれられています。
近くに動物病院があり、先生と懇意にしてるので診てもらいました。
成鳥だし、何か傷の薬を家でつけたらいいよ。
自分の手に包んで家に帰りました。
目がくるくるとして私を見ています。
目と目が合うと、どうしても助けたくなりました。
急いで帰り、傷に軟膏を付けてやりました。
どうかな?あまり動かないな。助かるかな?
段ボールに入れて、暖かい布と水をあげました。
段ボールにうずくまり、今にも目を閉じてしまいそうです。
そのまま3時間、そーっとしてあげました。
どれどれ、と箱を開けると、生きていました。
私が手に取ると、ピーピーと啼きだしました。
そして手のひらを広げました。
すると、すると、傷ついた片方の羽根まで不器用に動かし始めました。
ピーピーと啼いて私の手のひらから青空に飛び立ちました。
近くの枝にとまり、しばらく啼いてた、と思う間もなく、大空に舞い上がりました。
仲間とはぐれて今夜は何処で傷ついた体を休めるのだろう、と思うと悲しくなりました。
井伏鱒二の屋根の上のサワンを思い出しました。
小鳥はなんと美しいのでしょう。
助けたあの小鳥が早く元気にならばいいな、と思いました。
ひょっとしたら、あの小鳥は私がかつて愛した人の生まれ変わりだったような気が。
美しい啼き声でした。
温かい羽毛の美しい鳥でした。
いい午後でした。
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by lautrec2kagoshima | 2011-01-08 18:24

新しい時代の幕開け

昨夜が今年の料理事始めでした。
5月で25周年です。
まさかここまで長く生きてこれるとは?
日常品も昨年は相当に廃棄しました。
高校時代の日記でさえ焼き払いの刑に。
レコードもテープも1年以内に聴かないのは処分しました。
出来るだけ身軽に。。
あるいは近い将来に自動車さえも不要になることも。
遠出はレンタカー、近い場所はこれまでの自転車で。
2台の自転車は地球を1周する程に乗りました。
何も持たない、最近はこれがトレンドみたいです。
私は以前から余計な所有は苦手でした。
この単純な調理道具。
この単純な楽器類。
一人旅、一人演奏、一人舞台。
旅人として、演奏家として、料理人として。
残された時間を楽しく過ごすために今年も。
さて、仕事の合間にどこに出かけましょうか。
パリは今年はパス、スられた後遺症がまだ細胞に残ります。
ラオスもいいなあ。
昔、小さな島を小舟で旅したフィリピン南部もいいなあ。
ミンダナオの独立戦線に捕まると、ニュースだ。
などと、思いは世界を駆け巡ります。
開高健流に、、、世界に抱かれろ、女に泣かされろ。。。
男が磨かれる最高の方法らしい。
という事で、さらに生きるを楽しむ今年です。
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by lautrec2kagoshima | 2011-01-06 11:27
今年よりここで演奏会を定期的に開催します。
1月16日が新春ライブ。
ボサノバ中心の熱い魂を皆様にお贈りいたします。
狭い空間で演奏者と聴衆が一つになり、うねるようなエネルギーを。
息の聴こえる距離での演奏。
だいご味です。
一つの世界がそこで展開される物語にしたいもの。
電子メールじゃ伝わらない、人間味あふれる愛。
空虚なキーボードの音で何が伝わるというのか。
人と人が目と目を合わせてしか生まれえないぬくもりをライブで。
電子メールは高圧で誤解しか生まないといわれる所以。
その点、CDじゃない、本物の音を出すライブは人間そのもの。
今年はここの狭い空間でしか表現できない、暖かい音を出します。
それは人間の手で作り出す料理に似ています。
2月はバレンタイン特集音楽ライブ。
是非、非日常を味わいにこの演奏会にいらしてください。
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by lautrec2kagoshima | 2011-01-03 21:50

私達夫婦が経営する南仏・地中海料理のお店「LAUTREC(ロートレック)」の毎日の様子を綴ります。


by lautrec2kagoshima