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フラメンコ

1972年、ピカソの生まれたスペインのマラガ、という町で。
無為な日々の私は海岸で昼寝中。
隣に芸大出の画家が2人。
3人で魚釣りの午後。
向こうから大きな帽子と精悍な顔つきの日本人がきました。
今、対岸のアルジェから帰りました、と男。
今夜、この町のバールで踊るんだけど、きませんか、と私が誘われました。
暫く、この人と会話が弾みました。
20歳ですか、夢を果たしてね、自分の夢を叶えなさいよ。
男の顔つきは何かを探すライオンのようでした。
その夜の午前2時、いよいよ彼の登場です。
私は一番前の席に座りました。

彼は私をすぐに見つけ、ほほ笑んでくれました。
そして30年以上の月日が経過。
今年の文化功労章の15名が昨日公表されました。
小島章司。
その人です。
若い頃に私に夢を持て、と熱く話しかけた人です。
なんだか嬉しい朝でした。
そのライブの後、私に見せてくれた彼の靴底。
どんなに激しい表現なのか、相当に擦り切れていました。
70歳の今も現役です。
会いたくなりました。
2日間、2人スペインでの思い出です。
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by lautrec2kagoshima | 2009-10-28 13:22

フォアグラの香り

昨夜フォアグラをいつものようにフライパンで。
ジワー、という音と同時に独特の香りが立ち込めます。
フランス北西部のペリグー地方から来たものです。
昔、ペリグーの町、サルラで食した子牛の胸腺のトリュフソース、サラダにフォアグラ
生のフォアグラを薄く切り,焼いたパンに乗せるだけのもの。
フォアグラはソテしてもサラダにしてもうまいものです。
ソテしたフォアグラからの何とも言えない香りは、あるいは食べるよりも美味しいです。
昔は寒い冬の保存食糧でした。
今では世界の珍味のひとつになりましたが。
秋はフランスでも食欲の増す時期なのか、野生のカモやウサギが肉やにでます。
肉やの外で焼くウサギ肉もフォアグラ以上にいい香りがします。
それを紙に包んで歩きながら散歩するわけです。
秋のメニュの出番です。
ボルドーの香り高い赤ワインとフォアグラ。
いい組み合わせのひとつです。
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by lautrec2kagoshima | 2009-10-25 16:53

初めてのゲスト

今夜は初めてのゲストでした。
正直、緊張します。
好みやワインの事、デザートまでどういう流れなのか。
ゲストも楽しみと不安で着席されます。
アミューズで驚き、感動を与える事からスタートです。
はじめてのゲストには正統派のフランス、それも南フランスの定番から。
魚介や新鮮な野菜に上質のオリーブオイル。
ストレートな味覚でおもてなしします。
何事も最初が肝心です。
目標は感激していただく、これにつきます。
お帰りの表情を見るのも楽しみです。
どうやら上手く捕まえられたようです。
クリスマスの予約や大人数での問い合わせまでいただきました。
これまで初めてのゲストで、食事後にご予約をされた方も相当、いらっしゃいます。
初めての出会いで、恋に落ちるか否か。
まるでゲームです。
材料費も手間も関係ないのです。
相手を落とせるかどうか、が問題です。
ビジネスはそのあとに必ず、付いてきます。
2年前の今日、2週間のフランス彷徨から戻りました。
最近、フランス料理界と交信してるので、毎日が刺激です。
材料からレシピ、通販やテレビの番組まで、まるでパリに住んでいる感覚。
今夜はゲストに完勝でした。
面白いゲームは恋のゲーム以上に刺激的?
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by lautrec2kagoshima | 2009-10-14 21:57
6月3日。市場で初めてピッチェリアへ行く。
大きな窯で木を燃やして焼いてる。
一人は火の当番。一人が生地をのばす役。
もう一人がソースとチーズを乗せる役。
ここナポリはピザの生まれた町だ。30センチサイズのもの、実に100円。
私も紙に包んでもらい、その場で食らう。
なんという生地とチーズのバランスの良さ。
水牛のミルクからとれたチーズもナポリが本場だ。
隣に若い娘が二人いる。
私のおごりで3人で仲良く食らう。
午後2時のナポリは暑い。
夜、トラトリアのジョバンニに向かう。
友達のイタリアーノのお店だ。
なすのマリネ。来ましたね、定番が。イタリア好きを泣かせるこの前菜。
なすのうまさ、オリーブオイルとトウガラシの相性。
これですよ、イタリア料理の前菜は。
ピーマンのマリネ、ついにきました。下町のうまさです。
昨日のミシュランの星ありリストランテ、ダミミより遥かにうまい。
ナポリ万歳。
帰り市場でトマトを買う。
サマルツアーノは独特の固さと甘みがある。
これだね、ナポリ料理の神様は。
好奇心で歩くので、足の疲労がすごい。
まるで20歳の青春を思い出す。
明日の夜は夜行でローマへ。
それにしてもナポリの飯は下町のトラトリアに限るね。1997年の旅記録より。
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by lautrec2kagoshima | 2009-10-12 22:09

日仏間の食べる時間

フランスの厨房を経験した私の感想です。
我が同胞の食べる速さはフェラーリ級です。
実に早いです。
味わう瞬間がないくらいに早いものです。
最後までその早さが落ちる事なく進行する人も。
ワインでさえぐいぐい、と飲み干す感じです。
家族でも2人でも早さは同じです。
料理する側としては焦る訳です。
デザインする時間も余裕もないからです。
特別な時間と非日常な舞台にしてはあまりに味気ない早さです。
すぐに結果を求める民族ならではかもしれません。
あまりに早いと、前の夜から考えてたメニュが何の意味があったのだろう、と沈みます。
例え、6,7皿出したとしても、それは実に見事な早さです。
会話もはずまないし、兎に角、食べるのが第一目的です。
観光の仕方も同じで、たくさんの遺跡を一度に見ようとします。
愛する時間も世界で一番短い?ゆえんです。
対するフランス。
一皿で1時間のときも。
相手と話しながら、スローなテンポで会話の途中で食べる感じです。
厨房は制作に集中できる訳です。
恋人なら、途中でキスしたり、まさに演劇の舞台です。
食べる意味が根本から異なるのでしょう。
時間と自分の今を合わせる技がうまいのでしょうか。
愛をささやく時間も日本人の5,6倍の時間です。
すべてに乗りが大きいのがフランス人です。
日本に帰り、厨房でフランスを思い出す今夜です。
丁寧な仕事、気持ちのこもる愛、フランスの勝利でした。
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by lautrec2kagoshima | 2009-10-11 00:09

食いしん坊天国フランス

パリのいたるところに立つ市場、マルシェ。
新鮮な野菜からチーズまですべてがそろいます。
私の暮らした18区。
モンマルトルのアベスのマルシェ。
通い詰めてるうちに、店の定員と仲良くなりました。
気分でサービスしてくれるのも嬉しいものです。
料理の本も地方別に本屋に並んでいます。
北と南ではあまりに異なる内容のレシピです。
私は個人的にフランスのいくつかの料理案内とリンクしています・
秋なのか、毎日相当のレシピが送られてきます。
それぞれが刺激を私に与えてくれます。
居ながらにして、フランス現地からの今の情報が来るわけです。
役だつ事が多く、最近ではフランスの最先端を取り入れています。
デザートの変化も感じます。
また通信販売で買える食材も多く、今後の参考になりそうです。
アメリカで発行されてるフランス料理本も相当数です。
食材はアメリカから購入すると円高で有利です。
今使っている皿、ウェジウッドは当時アメリカの通販で購入。
ドルが80円台の頃です。
ほかの皿のロイヤルアルバートはポンド安の1998年ごろ現地で購入。
海外製品は円高を狙うのが俄然、有利です。
情報は今や、世界の知恵が無料で手に入ります。
いい時代です。
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by lautrec2kagoshima | 2009-10-05 22:34

秋のメニュ

なす。塩で水分を出して、水を少々加えて蒸し煮。
冷めたらオリーブオイルと塩、白ワイン酢でマリネ。
これだけでも十分のアミューズになります。
かぼちゃ、玉ねぎ、ピーマン、オクラ、アスパラ。すべて網焼きにしてオイルで1日漬け込む。
塩はゲランドのものか、アルルの天然塩で。
これとフォアグラを合わせます。
軽めの野菜にペリグーのフォアグラがよく合います。
魚には久しぶりベシャメルソース。
粉とバターは従来の半分以下で粘りを弱く。
ヌーベル時代からベシャメルは大きく変化しました。
そのソースにカニやホタテを加えますと、何とも言えない妙味が出ます。
デザートは秋にふさわしいフルーツ数種をサバイヨンソースで。
オーブンでこんがり焼いて、熱い内に食べていただきます。
プチフールはリンゴのタタン。
パイ折の好きな私です。秋から冬。
毎朝パイばかりしてたパリの冬です。
すべての食卓にメニュを手書きで。
すべてオリジナルな構成。ジャズです。
デザインは前の夜。
ライブは瞬間で開始です。
秋から冬。フランス料理の季節が到来です。
今年は50,60種のメニュが登場します。
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by lautrec2kagoshima | 2009-10-04 20:16

イタリア語完全忘却の巻

パレルモのセルジオさん宅で晩餐を終えた翌朝。
プンタライチ空港へ暗い時間にインチキタクシーに乗り込んだ。
乗車前に半額交渉に成功。
プロペラ機で気分は星の王子様。地中海にサルジニア島が見えた。
小さくなるシチリア島。
初めてのイタリア語でのイタリア旅行。
1年後、フランスでミラノの女子学生と話す機会がありました。
イタリア語の出番です。
あいさつの後、一言も出ません。
完全に私からイタリア語は永遠に消滅していました。
嘘だったのです。
消えた恋、蒸発したワイン。
原因は一つ。文法も基礎もない、柱のない家でした。
その場限りの間に合わせの言葉でした。
どの分野でも素人の力はたかが知れたもの。
空しいイタリア語でした。
空に消えたイタリア語。アルベデルチです。
何事も基本、当たり前な事を体験しました。
外国語で意志疎通するには、相当の時間と苦労が必要でした。
あれ以来、ほかの外国語に挑戦する気持ちはもう消えました。
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by lautrec2kagoshima | 2009-10-02 07:49

私達夫婦が経営する南仏・地中海料理のお店「LAUTREC(ロートレック)」の毎日の様子を綴ります。


by lautrec2kagoshima