<   2009年 03月 ( 9 )   > この月の画像一覧

午前二時の料理人

オマール海老をどう扱うか、解決の無いままで睡魔にやられた。
午前二時、ジャズが鳴りぱなしの部屋。
目を覚まし、またオマール海老の事で悩み始める。
20人分をいかに温かく、美味しくサーブできるものか。
この道何年?といわれても悩みは尽きない。
才能に恵まれない私は何時までも見習いの身分。
香りをコニャックがいいのか、それとも辛口の白か。
正統派は前者だ。
コルトレーンがバラードを演奏し始める。
ソースベシャメルに卵の黄身をくわえよう。
粉は少なめに、現代的な味で。。
などと,思考をめぐらせている内に、新聞配達の音。
料理は製作以前の作業に時間を費やす。
素材の山から欲しいものを選び出す。
山登りの準備だ。
その日の素材で戦うので、心情のバランスも大切だ。
メニュの無いレストラン。
顔を見ながらの交流試合。
まるでジャズの会話に似てる。
料理は頭の体操。老化しないための序章。
ただただ、ご馳走様の声だけのために、毎晩、絵を描く。
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by lautrec2kagoshima | 2009-03-28 16:50

呼吸する花

食卓に飾る花。
華やかな料理の大切な脇役です。
友人が趣味で栽培する花が登場して12年。
四季おりおりの花が朝に届く。
花屋では入手できないものもあります。
道楽の花栽培と、基本は道楽の料理人。
どこまで満足させられるか、と主眼に毎朝厨房に向う。
音作りと似た料理の世界です。
出た音、食べた味、瞬間に消え行く幻影です。
花の無いテーブルはまさに味気ないものです。
3,4日でその生命の終える時、花たちは満足した顔をします。
愛でられた記憶があるのかもしれません。
テーブルの花はたとえ小さくても、その役割は偉大です。
パリ18区のミシュランありのボービリエ。
花でも世界的に有名です。
花の費用だけでも莫大でしょう。
ちなみにこの花は友人の経営するパリのレストランです。
2日に一度、レストラン専門の花屋が来ます。
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by lautrec2kagoshima | 2009-03-20 18:00

サハラの商人

サハラ砂漠入り口のあるかばん屋。
東京のパルコで見つけたかばんを持ち、サハラに出かけた。
新品のかばんに地図と軽装の着替えをつめて2週間の一人旅。
ふらふら。
なんだか気にかかるかばん屋に出くわす。
ムシュ、これいくら?
法外な値段をいう。
半分以下で買える値段だ。
親父がいう。
あんたのかばんと交換しようよ。
単純細胞の私。
ああ、いいですよ。
サハラ製のかばんに持ち替えて、さあ出発。
翌日、すぐに持つ部分が取れる。
2日目、底が抜ける。
しまった。これからハードな旅が始まるというのに。
3年後。
愚かな私は再び、サハラに向う。
親父に文句いおう。
その親父。交換した日本製のかばんを一度も使用してない。
まるで新品の私のかばんを自慢げに見せる。
あんたと交換したかばん、すぐ壊れたよ。
ああ、そう。うん、壊れやすい安物だよ。
再び私はサハラに向う。
騙されるほうが騙すよりましか、と慰める私
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by lautrec2kagoshima | 2009-03-17 23:38

パリの魅力

若い頃に住んだパリは永遠に忘れない。
誰もがそういう。
具体的にどこが、という事じゃない。
そこに暮すだけで生きた実感に永遠性を感じるのだろう。
1920年代のサンジェルマン。
ヘミングウェイがジョイスと出会う場面を読んでいる。
彼も最後までパリにとりつかれた男だ。
私のアパルトマンはムーランルージュのそばにあった。
毎朝この絵の前を過ぎてレストランに向った。
帰国の前に暮した道を絵に描いた。
以来、パリを訪問するたびに同じ道を歩いてみる。
20歳から始まるパリ。
もう一度、パリ暮らしを計画している。
住める場所は確保した。
ロートレックの愛したムーランルージュ。
今はアメリカ資本になったのが残念。
それでも風車は回る。
私も回る。
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by lautrec2kagoshima | 2009-03-15 07:39

ベーシスト養成講座

女性がコントラバスを学びに来た。
なんとも頼もしい。
あの大きなバイオリンだ。
森閑とした木精の音に惹かれたのだろうか。
どこから、何を教えればいいのだろうか。
ジャズ研で先輩から指導された方法が一番だろう。
まずはリズム感が無い人は問題外。
若い頃、2人のベース志願者に教えようとした。
残念ながらお断りに。。
リズム感ゼロ、これは心臓の無い人間と同じ。
おんち。これはもう音楽どころじゃない。
今回の生徒。リズムが最初から光る。
最初の授業で全部が分る。
全体として音楽を把握出来る力を感じる。
若い料理人も同じで不器用だけども、躍動感がある。
光る目、勢いのある話かた。
この若いベース奏者。
1年でライブで弾かせてみせる。
2年でソロをさせてみる。
3年でピアノトリオで光らせてみせる。
不必要に練習時間をとらず、確実な練習と理解が大切だ。
出来ない所を残さない。
乗り越えて初めて、次に移動する。
なんだか無駄に過ごしすぎた自分を反省してるみたいだ。
教える事で学ぶ事のなんと多い事
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か。
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by lautrec2kagoshima | 2009-03-08 08:50 | 音楽と生演奏

携帯人種

ある午後の事。
バイクにまたがる若い男。
右手で携帯と交流中。
微動だにしない。
年齢は20歳くらい。
今や見慣れすぎた風景だ。
午後の二時だった。
誰かと交信中なのだろう。
携帯の無い私は今や縄文人以下、だといわれる。
携帯が無いと、取り残されるよ、差別されるよ。
脅しにも負けず、黙々と自転車で逃亡生活。
さて、その夜、9時ごろに男のいた場所を通過する。
同じ姿でその男が携帯と交流中。
微動だにしない。
年齢は20歳くらい。
1時間散歩して、また同じ場所を通過。
同じ姿でその男が携帯と交信中。
翌日の朝。
もうその場所から消えてた。
シュールなドラマ。
現代の無調なドラマ。
情報に殺された我々の時代。
方丈記の言葉にこそ真実がありそうだ。
また同じ場所に行こう。
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by lautrec2kagoshima | 2009-03-05 16:12

静かな英国人

英国生活を離れて30年以上の経過。
その当時、電気は暗い、店は早くしまる。夜に出かけない。
東京の派手な舞台から来ると、時代が違うのでは?と思った。
旧過ぎる自動車、暗くて寒いパブ、やる気のない店員たち。
23年間愛用してきた1964年式MGB。
壊れても壊れても修理して乗った。
時に英国人の仲間から、売るなよ、最後まで乗れよ。
最後の決断は足回りの故障。
この夫婦も私のクラブ員。
2人で30年の年齢差のあるMGを乗り回す。
英国人はスポーツカー大好き。
けちなフランス人はどれくらい荷物がつめるか、が問題。
そしてどれくらいぼろぼろになるまで乗り崩すかが問題。
ぶつけてもぶつけても修理は先ずしない。
日本人はすぐに飽きてしまう。
中古車屋にあまりに程度のいい車が多すぎる。
最後まで乗り崩す精神が地球の保護につながる。
一台の自動車で遊ぶ英国人に乾杯。
物はほとんど買わない。最低の物で静かに暮す。
消費好きのわが同胞はアラブ系か。
英国人の静かな暮らし、高邁な精神。ワーズワースの故郷
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by lautrec2kagoshima | 2009-03-03 21:41
フランスの旧い歌、アビニオンの橋の上で。
本当に踊れるものか、実際に踊りに出かけた。
ローヌに掛かる途中で切れた世界的な橋だ。
旅の途中、橋を眺め、渡るのも私の楽しみ。
さて、川岸から歩いてみる。
踊れそうな広さじゃ無い事が判明。
橋の下では踊れそうな空間がある。
アビニオンは100年間、ローマ教皇が暮らしていた。
その時代、ローマがあまりに堕落。
ナントからの教皇がこの地にとどまる。
歴史的にも有名な人口10万程度の町。
フランスの女性とローヌを眺めていた。
彼女が言う。
ほら、対岸をみて。
日本人のスターがf1レースのドライバーと暮してるのよ。
ゴトークミコ。
この地では有名らしい。
この橋は永遠に修復しないらしい。
途中で切れた面白い橋
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by lautrec2kagoshima | 2009-03-02 23:37

食の記録

どこで何を食べたか、仕事柄、その印象を書き留める。
フランスの田舎からサイゴンの中華にいたるまで。
35年分の記録がノート30冊以上になった。
味の記憶度は其れなりに向上したはず。
ただ味はその日の体調や気分で大きく変化するもの。
ペリグーのサルラというフォアグラで世界一の町。
プジョーで300キロ走行の後、念願のそれを賞味した。
残念ながら食事中に睡魔が襲った。
ロートレック美術館を後にして、ランチをしがないビストロでいただいた。
鴨の凡百な味にもかかわらず、記憶に残る時間。
それは学芸員に案内されて彼の傑作を堪能したからだろう。
それにしても、よく食べて描写したものだ。
振り返る楽しさ、そして、もうこんな時間は再来しないという哀しさ。
いつかまとめたい、とこの頃。
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by lautrec2kagoshima | 2009-03-01 08:26 | レストラン便り

私達夫婦が経営する南仏・地中海料理のお店「LAUTREC(ロートレック)」の毎日の様子を綴ります。


by lautrec2kagoshima