ある男の死

一枚のはがきが今朝届いた。
ある男の死亡通知だった。
私の中で一番、群を抜く知性人だった。
文学、哲学、美術、短歌、和歌、宗教、中世音楽、古典。。。
高校時代の国語教師だった。
熱意の塊だった。
吉田兼好を熱弁をふるい教えてくれた。
ロンドンに暮らした時代、高校新聞を送ってくれた。
以来、私が異国を放浪した際、いつも手紙で交流した。
手元に残る手紙の膨大な量。
昨年はパリからサンシュルピス教会での拝礼の様子を伝えた。
写真集も送った。
彼はグレゴリオ讃歌を都内で歌ってた。
ある時期、カトリックの洗礼を受けた。
死への怖れが常に彼の背後に控えてた。
ある時期から死への想いが手紙に。
映画狂としても有名で、地方紙によくコメントを書いてた。
16世紀の四人の西欧使節に関して、よく手紙で意見を言った。
パリモンマルトルの世紀末にも関心が深かった。
ロートレックへの関心を含めて、こんな好奇心の男ははほかに知らない。
アウシュビッツ訪問の際も手紙で交流した。
手紙の内容はまるで文学だった。
貴重な男を亡くした。
1か月前に手紙を出したけど、返事がなかった。
いつもならすぐに返信してきたのに。
私の最後の手紙を読んでくれたのだろうか。
残る膨大な内容の手紙を再度読もう。
今日は実に悲しい。悲しすぎる。
私に与えた影響は最大級だ。
いつも勇気を与えてくれた男。
貧困の幼年時代を経て、強い生き方をしてた。
横須賀に暮し、近い内に会いに行く約束をしたばかり。
高校時代、黒板に古典精神を力ある文字で書いた。
いわゆる、先生じゃない、硬派で軟派な先生だった。
最後の手紙を読んで見よう。
キリストの教えにどう向かい、どう死に向かったのだろう。
余りに頭の優れた男故、苦しんでた様子が今分かる。
今日は悲しい日になった。
私のジャズへの想いも重いものがあった。
教会で最後に彼は何を思い、感じたんだろう。
もう一度会いたかった。
あのやわらかい知性に会いたかった。
ラフマニノフのピアノコンチェルトが更に私の哀しみを増大させる。
私に与えた最大の影響にありがとう。

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by lautrec2kagoshima | 2018-07-04 13:26

私達夫婦が経営する南仏・地中海料理のお店「LAUTREC(ロートレック)」の毎日の様子を綴ります。


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