旅人

1971年の秋。冷たい北風の吹く新宿紀伊国屋前。
ロンドン行きの片道券を抱きしめる。
さあ、これで日本を飛び出せるぞ。
まさに世界は自分のものだ、と思えた20歳の秋。
羽田からソビエトの古い機体に一人で乗り込んだもんだ。
深夜午前3時。
ロンドンのヒースローに着いた。
何しに来た?滞在許可証は?
どこに住むんだ?目的は?
何となく理解する英語。
それから40年の歳月。
何気なくそれ以来、アフリカやアジアも含めて日常を飛び出したけど。
そういつまでも元気じゃないし、何より気力が減る。
料理を知りたいためにフランスへ行く。
他にアジアは見知らぬ人に会いに行く。
旅人の才能か。
見知らぬ街でたくさんの人に出会う。
男も女も若い人も老人も。
ベトナムのメコンの村で偶然に葬式にも参列する。
台湾の小学校でクラスに招かれる。
車を止めてイギリスの家庭に宿泊する。
イタリアの田舎で朝まで娘と踊る。
ベトナムと中国の境である家庭によばれる。
アフリカで少年と出会い、その後結婚式に招かれる。
わざわざパリ経由で参加する。
旅は風に似てる。どう吹くのか分からない。
今年に入り、フランス映画を20本見る。
50年代、60年代のパリの風景がいい。
トリュフフォーの大人は分かってくれない、を昨夜見る。
ヌーベルバーグの始まりだ。
これをみたジャンコクトーが天才だと評価した。
モノクロの幸福と不幸の混在するまさにフランス映画。
撮影場所がクリシー広場。
私のなじみのカフェがある。何より暮らしてた場所がそこだ。
懐かしい風景が出てくる。
その前はインドシナを見る。
ベトナムのニンビン省。
タムコック川が出てくる。
2010年の秋、私はその川をベトナム女のこぐ小舟で下ってた。
若いその女に4時間漕いだ後、私は3ドルを差し出す。
何ともいえぬ笑顔が美しい。
以前、メコンの村でスイカを買った。
20歳代の若い母親。そばに乳のみ子。
暑い道沿いのテントの下。
20円のスイカ。女は私に笑顔でスイカを渡す。
こんなに美しい女を見た事はかつてあったろうか。
旅は人との出会いだ。
そのあとハノイの安ホテルでイギリス人の女にカイロを10個あげる。
どこにいく?私、一人旅でこれから中国を経由してシルクロードへ。
じゃ、寒いからカイロあげるね。
旅は面白い。
西洋よりアジアの田舎が面白い。
近い内に風にになり、見知らぬ街に迷い込もう。
生きてる時間は余りに短い
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by lautrec2kagoshima | 2014-03-17 19:52

私達夫婦が経営する南仏・地中海料理のお店「LAUTREC(ロートレック)」の毎日の様子を綴ります。


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