旅の
2011年 03月 21日
1997年の6月のある朝。
場所はシチリア島トラパニのバス停。
トランク提げた私とミニ運搬車で移動販売するジョバンニ、という男。
2人だけが登場人物です。
ボンジョルノ、と私。
わずかなイタリア語での会話は5分で終わる。
ジョバンニが私にミカンを差し出した。
おかえしにパンを渡す。
遥か向こうに地中海が見えた。
私のジュースを2人で交代で飲む。
ただ2人は顔を見合わせて笑うのみだ。
お、バスが来た。
私はそのバスに乗り、次の町に向かう。
乗客は私一人だ。
ジョバンニと握手して、アルベデルチ。
後部座席から手を振る私。
見えなくなるまでジョバンニも手を振る。
荒れた道のほこりと共に、ジョバンニも小さくなる。
かつて北アフリカの砂漠の村で子供たちとサッカーをした。
その時は私の車に子供達が走りながら、別れを告げた。
砂漠の砂に消えた子供たちの姿と重なる。
ジョバンニの書いてくれた住所に写真を送った。
2年は待ったが、返事は来なかった。
それでよかった。
あの日の海と風の心地よさ、そしてジョバンニの手のぬくもり。
こんな旅がこれまでの私の財産です。
場所はシチリア島トラパニのバス停。
トランク提げた私とミニ運搬車で移動販売するジョバンニ、という男。
2人だけが登場人物です。
ボンジョルノ、と私。
わずかなイタリア語での会話は5分で終わる。
ジョバンニが私にミカンを差し出した。
おかえしにパンを渡す。
遥か向こうに地中海が見えた。
私のジュースを2人で交代で飲む。
ただ2人は顔を見合わせて笑うのみだ。
お、バスが来た。
私はそのバスに乗り、次の町に向かう。
乗客は私一人だ。
ジョバンニと握手して、アルベデルチ。
後部座席から手を振る私。
見えなくなるまでジョバンニも手を振る。
荒れた道のほこりと共に、ジョバンニも小さくなる。
かつて北アフリカの砂漠の村で子供たちとサッカーをした。
その時は私の車に子供達が走りながら、別れを告げた。
砂漠の砂に消えた子供たちの姿と重なる。
ジョバンニの書いてくれた住所に写真を送った。
2年は待ったが、返事は来なかった。
それでよかった。
あの日の海と風の心地よさ、そしてジョバンニの手のぬくもり。
こんな旅がこれまでの私の財産です。
by lautrec2kagoshima
| 2011-03-21 20:25