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地中海の旅

ポールセローの地中海大旅行という分厚い本の2度目に突入しました。
ジブラルタルを出て、今コルシカのコルテという村です。
私も過ごした高地の寒村です。
ナポレオンの母親が生まれ、ここで彼女も民族運動に参加しました。
地中海はアフリカ対岸も含めて、文明の起源です。
寒い秋の夕方、作者はレストランに。
コルシカワインと魚を一人さびしく食べます。
ああ、なんという幸福だ。彼はつぶやきます。
ドイツの小説家曰く、私はいつも旅にいる。他の人は毎日毎日、同じ事の繰り返し。永遠に怠惰な仕事。
何も変化のない毎日。その点、私のこの人生。見知らぬ土地、見知らぬ味。見知らぬ人。
なんだか罪悪感、しかし、神様から与えられた仕事だ。本を書く事。だから旅にいるのだ。
と、ポールセローも同じ考えに浸る。
そういえば、私も同じです。食の仕事柄、何十の国と地域を食べました。
ついでにローマ、ギリシャの文明が好きで、同時に遺跡を地中海周辺で探訪しました。
対岸のアフリカにも4回渡りました。
モロッコ、アルジェリア、チュニジア。イスラム世界です。
その対岸は南仏、ヌードの女達の世界です。
地中海はあまりに広くて、すべてを回遊するには120歳までの寿命が必要です。
ある日ママンが死んだ、で始まる、異邦人。アルベールカミュの作品。
その舞台がアルジェリアのオランという町です。
その暑い午後、私はオランにいました。出だしを思いながら、オランの町を歩いていました。
カミュはこれでノーベル賞を、しかし、そのあと交通事故で若き命を落とした天才です。
旅に出ると、裸の自分と対峙せざるを得ません。
限られた生命、ぎりぎりまで使いこなしたい、と思うわけです。
今度はどの地中海海辺を歩こうか、と深夜に思案中。
制限時間のある個人の生涯です。
この世に別れるまで徹底して夢をかじる予定です。
見知らぬ町、見知らぬ人、見知らぬ味、ただそれだけの理由で遠くへ行きたい。
by lautrec2kagoshima | 2010-02-09 21:40

私達夫婦が経営する南仏・地中海料理のお店「LAUTREC(ロートレック)」の毎日の様子を綴ります。


by lautrec2kagoshima
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